大森靖子は止まらない 1
どうして彼女は止まることなく進化し続けるのか?
大森靖子「ピンクメトセラ」MusicClip (short ver.) - YouTube
大森靖子は今の時代を代表する天才シンガーソングライターである。彼女の快進撃については特に説明しないでも十分だろう。(一応Wikiでも貼っとく https://ja.m.wikipedia.org/wiki/大森靖子 )
つい最近だが上記のPVを観てかなりの衝撃を受けた。この作品はMadison book girlをプロデュースしているサクライケンタがプロデュースを手掛けている。変拍子など現代音楽の影響を受けたサウンドを得意とする新進気鋭のプロデューサーだ。一度ハマると病みつきになるほどその音楽性は独特な中毒性を持っている。かつていずこねこをプロデューサーした音楽家といえばわかってもらえるだろうか。
Maison book girl / snow irony / MV - YouTube
いずこねこ"e.c.l.s."Music Video(『世界の終わりのいずこねこ』より) - YouTube
そんな天才プロデューサーのサクライケンタが天才シンガーソングライターの大森靖子をプロデュースしている作品である。単純に考えるとお互い強い個性を持つ故にぶつかり合うようにも思われた。互いの強い個性がお互いの長所を潰しあってしまいかねない状況もあっただろう。しかし実際は予想とまったく違うこんな素晴らしい作品が産まれたのだ。
サクライケンタのサウンドは大森靖子の歌に現代音楽のスパイスをかけながら十分に引き立ててみせている。また大森靖子はこの作品でサクライケンタサウンドに乗せて色鮮やかな歌とメロディをバッチリと鮮やかに彩っている(あくまで大森靖子が中心にあることは疑いようもない。シンガーソングライターとプロデューサーの関係だ)。
結果としてこの作品はどこかにあったようでまったくない革新的なポップミュージックとなった。サクライケンタにはプロデューサー(バランサー)としての優れた音楽的な資質もあるのだろう。だがそれだけで終わらせられないほどこの作品には素晴らしいマジックが起きている。何しろ混ざりあうことのなさそうなサクライケンタサウンドと大森靖子の色(音)がしっかりと絶妙に表現されているからだ。この作品は少なくとも大森靖子にとって進化形の一つなんだろう。
彼女はつい先日発売されたセカンドアルバムにおいても亀田誠治(スピッツ、東京事変)プロデューサーやクラムボンのmitoをプロデューサーに迎え、これまでと違う新機軸のサウンドを鳴らしている。
大森靖子「愛してる.com」MusicClip - YouTube
大森靖子「TOKYO BLACK HOLE」MusicClip - YouTube
セカンドアルバム発売は2016年3月である。
そしてこの約半年経った後にこのシングルが届けられた。タイトルが「ピンクメトセラ」だと知った時、正直あまり期待はできなかった。アニメタイアップとも聞いてメジャー受けのするようなありきたりの当たり障りないサウンドを予想してしまったりもした。実際にはそんな予想をはるかに吹き飛ばすくらい素晴らしい音楽作品だったわけだが。
さらに見過ごせないのはこの驚異的なスピード感だ。彼女はメジャーデビューする際に結婚し、すぐに妊娠している(2014年7月に結婚を報告。2015年10月第一子出産。)。セカンドアルバムからこの作品を完成させるスピードも異常なスピードである。そこへ結婚生活や子育てといった大変な仕事が存在しているんだろうということ。他人事ではあるが恐ろしい。
言うまでもなく結婚や妊娠は女性にとって重要な人生の一大事だ。プライベートを取るかアーティストとしての自分を取るか。多くの女性音楽家たちはこの問題に対して悩まされ(また喜びながら)アーティストとしての自分を休止することを選んだりしてきた。
しかし、彼女は違ったのだった。一時的に休止はした。だが、引き続き活発に動き続けているのだ。(子育てとかどうしてるんだ...)
つまり彼女は家庭生活とミュージシャンとしての仕事の両立を選んだのだった(ここらへんの詳しい事情や状態はこの本にチョこっと書いてある。興味があれば参照ください)
何が彼女を突き動かしているんだろう。
ネタバレしそうなのでいったんここで。。
続く