BiSH「オーケストラ」 序章が始まる
もう何も言わずにこのMVを観て欲しい。
この曲を歌い始めているのは誰だろうか。新メンバーのアユニ•Dではないだろうか(※後にライヴでチッチであることが判明^^;。ただ本文の論旨には影響がないためこのままとする。ご指摘いただいた方ありがとうございました。)
幼さと純粋さを合わせ持つその歌声はこれまでのBiSHに足りなかった(というかその足りない部分が彼女らの魅力そのものだったりした)正統派アイドルとして必要な最後のピースを埋めるものだったのかもしれない、、、まあ単にかわいいってだけなんですが笑。
正直に言ってなんだかんだハグミィの穴を埋めるのは想像以上に難しいタスクだったに違いない。「楽器を持たないパンクバンド」というコンセプトから言えば、ルックスやその中身のギャップからいってハグミィ以上のメンバーはなかなかいない。BiSHの場合、他のアイドルグループと同じように可愛いだけのキャラクターはあまり求められていない。むしろそこからいかに逸脱できるかという"パンクさ"こそが求められているのだろう。
(参考資料 http://natalie.mu/music/pp/bish/page/3 )
かわいいだけのアイドルという存在をかわいさとは別のベクトルで音楽的に超えていけるかどうかがBiSやBiSHのコンセプトでもあろう。それはデビュー曲の「Deadman」にも十分表現されているのではないだろうか?おそらくここがプロデューサーである渡辺淳之介と他のアイドルプロデューサーとの違いでもあるのだろう。
BiSH / DEADMAN[OFFICIAL VIDEO]
一般的なアイドルグループよりかわいさで決してかなわないアイドルたちが夢をひたむきに追いかけるその姿。そこへ当初から女の子たちは夢中になっているのではないだろうか。旧BiSとBiSHの違いはメンバーの年齢が比較的若いことがあげられる。BiSHの方が若い分同年代の女の子たちに共感されやすいのだろう。
しかし、そうした順風満帆のグループにも最大の試練が訪れる。ハグミィの脱退である。ハグミィはグループ内メンバーのバランスにおいても重要な役割を果たしてきた感がある。
BiSHは若いグループである分メンバーのグループ内のバランスが不安定なところもあるように感じられる。年齢が比較的高く安定した立ち振る舞いができるハグミィがグループ内のバランスを取っていることは外から見ていても容易に理解できた。
(参考資料 http://bit.ly/1Va3ZEJ
http://www.billboard-japan.com/sp/d_news/detail/38515/2 )
その彼女が脱退する。メジャーアルバム発売を直前にBiSHは非常に大きな試練へ向かいあうことになった。ここで舵取りを間違えればメジャーでアルバムを出せたとしてもグループとしての未来はなくなる可能性もあった。メンバー間のバランスやビジョンの共有でダメになっていくミュージシャンやグループはとても多い。
メジャーアルバム発売を控えBiSHはこの難局をどう乗り越えていくか。それはこの本で書かれているTIFの一件より遥かに難しい最大の試練だったのかもしれない。
渡辺淳之介:アイドルをクリエイトする (MOBSPROOF EX)
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しかし、この難局にBiSHは最高の解答を出してきた。それがアユニ•Dの加入とこの「オーケストラ」という曲である。ハグミィの誕生日に合わせてリリースされたこと、そしてハグミィへ向けて書かれたかのように見える素晴らしい歌詞、そしてハグミィのいないBiSHを埋めることのできる新メンバー アユニ•Dの存在感(どうしてこのタイミングでBiSHの核ともなりそうなメンバーが見つかるのか、、神のみぞ知るアーメン)。おそらくBIiHはこの曲でさらなる高みへと到達していくのではないだろうか。
アイナのエモーショナルな歌声(毎回この子の声を聴くと泣きそうになる。生命をかけて彼女は全身全霊で歌っている)、バランスを完璧に取りながら自分を魅せていくチッチ(この子の持つ才能はアイナとは違う方向で計り知れない)、そしてアユニ•Dの持つ純粋無垢な歌声(まるで彼女らを応援する女の子たちを代弁しているかのよう)。彼女らの声は音楽的にも既存のアイドルグループを遥かに凌駕する傑作を作り上げるのではないか。この「オーケストラ」という曲はその序章になり得るのではないだろうか。
是非聴いて、それを確かめて欲しい。